2019年度センター試験「ドイツ語」を解いてみた。

ドイツ語

表題の通り、久しぶりにセンター試験の「ドイツ語」を解いてみた。ちなみに4年以上も前に一度似たような記事を書いているらしい。4年ぶりの繰り返しになってしまうがセンター試験においては「ドイツ語」の難易度は「英語」のそれに比べて非常に簡単である。独検3級より簡単だと思う。ドイツ語の文法書(コンパクトなやつ)と3級対応の単語帳何週かするとすぐに高得点が望める。むしろドイツ語習いたての人にとってはこれ以上ないほど良い教材だと思う。


※自分は塾講師を2年間やっていたけれども受験業界とはもう縁がないので完全に第三者的な視点でこの記事を書いている。正直なところ、大学入試という本番の舞台で英語ではなく二外であるドイツ語を選択する人は相当度胸があると思うし尊敬している。ぜひ高得点を目指してほしい。

センター試験の問題は朝日新聞デジタルで解答付きで落とせる(解説はなし)

解いてみた。

18-18-25-35-35-60200点満点中 191点 だった。

4年前と比べて上がってはいるもののB2レベルとしてはありえない間違いを2つほどしてしまったため正直喜べない。以下、間違えたところと比較的難しいと思ったところ。

第1問設問3 アクセントが付く音節が等しいものを選ぶ

Leben-lebendig, Nation-national, Interresse-Interresant, Regel-regelmäßig

答えは Regel-regelmäßigなわけだけどこれが正直一番難しい問いだと思った。ドイツ語のアクセントに関してはドイツ語の授業だと非分離動詞や合成副詞(hinauf, herunterなど)は土台となる基礎語(動詞や副詞)の方にアクセントが付くことや外来語由来のものを除けばあとは大半の名詞や動詞は基本語も派生語も含めて第一音節にアクセントが付くと習う。真ん中の2つは典型的な例外なのですぐに外せるとしてLeben-lebendigRegel-regelmäßigですぐに後者を選べる人は上級者なのではないだろうか。

改訂 ドイツ語広文典にもlebendigについては以下のように注釈が付いている。

「注2」 lebendigは例外で、’lebendigではなくle’bendigである。

「改訂ドイツ広文典」, 第3章アクセント1, p. 23 より

まんまと例外に引っかかってしまった。同じような単語(語尾が-ig)でもwichtig, gültig, heftigなどは普通に第一音節にアクセントが付く。ドイツ語アクセントに関しては広島大学の外国語講座によくまとまっているのを見つけた。

第2問設問1(空欄補充)

Gibt es hier in der Nähe () Supermarkt? (ein/einen/einer/eine)

おそらく実用で一番多様する表現の1つであろうEs gibt構文、もちろん目的語に来るのは4格でSupermarktは男性名詞なのでこの場合はeinenが入る。間抜けなのでin der Näheのあとに2格が来るパターンだと思いeinerを選んでしまった。2格のパターンだとしてもeines/desだし何がしたかったんだろうか。

第2問設問3(空欄補充)

() schenkt du diese Schokolade? (Wem/Wen/Wer/Wessen)

誰に(3格)チョコレートを贈るのかという問いなのでもちろんWemが入る。Wenと書いた。コンタクトの度数が合っていないのかもしれない。

間違えたのは以上の3問。それ以外は一応全問正解であった。第4問から長文読解にいたっては表現もほとんど平坦で特に難しいところはなかった印象。
第3問の語句整序は解答には載ってなかったのでここに書いておく。
1. これは、私たちがぜひ一度見学したいと思っている城館です。
Das ist das Schloss, das wir unbedingt einmal besichtigen wollte.
2. クラウス、この企画に加わりたいかどうか、なるべく早く教えて。
Klaus, sag mir möglichst bald Bescheid, ob du an diesem Projekt teilnehmen möchtest.
3. その奨学金をもらうことになったら、ボンデのドイツ語講座を申し込みます。
Wenn ich das Stipendium bekomme, melde mich ich für den Deutschkurs in Bonn an.
4. 船酔いにならないためには、どうしたらいいですか。
Was kann man tun, um nicht Seekrank zu werden?
5. 私は将来、ボランティアとして国際的に活動したいと思っています。
Ich würde gerne in Zukunft als freiwillige Helferin international tätig sein.

やはり全体を通してみると一番難しいのは発音・アクセントだろうか。
発音については面白い話があって第1問の設問1、sの発音が異なる単語を選べというもので選択肢がGemüse, Kreis, Ost, Wechselである。どうやら私が住むオーストリアの人々にとってはこの問題は難しいらしい。まだサンプル数が二人しかいないが二人ともWechselを選んで外している (曰く、これだけsの発音がすこしシャープな気がするらしい)。 日本で標準ドイツ語を学んだ人の方が簡単に解ける問題かもしれない。答えは何のひねりもなくGemüse

オーストリアはそもそも方言が多様な国であるけど一般的にsが濁らない傾向がある。(独検のオーストリアドイツ語コラム参照)例えば山岳鉄道が世界遺産に登録されているウィーンから電車で1時間半ほど南西に行ったところにあるSemmeringという地域があるが日本のウィキペディアではゼメリング鉄道と思いっきりかかれている一方で現地での発音は”セ”ンメリングの方が合っている。私が住んでいるシュタイアーマルク州はそんなオーストリアドイツ語の中でも訛っている部類に入る。会社の上司とか研究室の教授の話すドイツ語を聞いても(今はだいぶ慣れたけど)最初は何言っているかわからなかった。そんな訛っているオーストリアドイツ語がたまらなく好きである。

さて、最後のセンター試験「ドイツ語」だったわけだが河合塾の大学入学共通テスト情報によれば来年度以降も外国語は英語以外も選べるようだ。高校生で一からドイツ語を勉強してわざわざ大学入試の本番で受けようという人はかなり少数だと思うけど難易度が初学者向けにちょうど良いのでこれからも推していきたい。
それと自分もドイツ語C1以上の受験に向けてそろそろ本腰を上げてドイツ語を勉強していきたいと思っている。さしあたっては手元にあるドイツ語教材にあるエッセイのテーマをかき集めてドイツ語でエッセイを100篇ほど書く予定。最初はB1-B2あたりから。後半はC1の教材や実際のドイツ語新聞・雑誌に基づいて書ければと思っている。オーストリアネイティブ赤まるチェックを経てすべてブログに公開する予定。がんばるぞい。

追記:

上記のエッセイ100篇書き始めたのでリンク集をのせておく。

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