遡ること2年くらい前、ヴルカヌス研修から帰ってきたあと、大学のドイツ語教授に頼まれて新入生の前で講演したことがある。
なぜ、ドイツ語教授というと、第二外国語の授業の一環で、海外で活躍している・していたOBを招いて講演してもらうというプログラムだったため。そのドイツ語の先生はヴルカヌスに行った後もゲーテB2取得のための勉強やドイツ語弁論大会の原稿添削など、ドイツ語関連で私がことあるごとにお世話になっていた人なので頼まれて二つ返事でOKをした。
当日は自分のほかにも二名のOBが来ていた。一人は会社の駐在でアメリカで長らく働いていた人で、もう一人はJICAで海外派遣後、医学生をやっている方だった。自分は学部OBとはいえ普通に大学院に在籍している唯一の在学生だった。
一人あたりたしか30分の発表・10分の質疑応答。ウチの二外は必修なのでおそらくほとんどすべての新入生が参加していたことだろうと思う。学会よりもはるかに多い人数を相手にプレゼンしたわけだが、学内の新入生相手という圧倒的アットホーム感によりまったく緊張することはなかった。視聴者10分の1くらいしかいなかったドイツ語弁論大会のほうがよっぽど緊張した。
そのような講演を始めたのは最近で、自分が学部生のころは無かったためどういうものか想像がつかなかった。というか自分はお世辞にも真面目な学部生ではなかったし、海外にもまったく興味がなかったのでそういう催しがあったとしてもサボってるか後ろで寝ていたと思う。
なので、新入生に向けてではあるが、当時の自分が起きて話に少しでも耳を傾けてくれるようなプレゼンを心掛けた。
研究の話、ヴルカヌスの話、大学生活を送るうえでのアドバイス、みたいな3段構成で発表した。最後に関しては、とにかく在学中に使えるリソースを有効活用すること、何でも興味をもってみること、ハマれる何か(ゲームでも何でもいい)を見つけたらどっぷりハマること、を話したと思う。押しつけがましくないよう努力したつもりだけど新入生が実際どう受け取ったかは分からない。あとになってドイツ語の先生に学生の講演後の感想を見せてもらったらポジティブなものが並んでいたけど。
使えるリソースというのは大学やサークルの設備や~支援課などそういうものだけではなく人的リソースも含まれる。けっこう教授とか相談すると親身になって助けてくれる場面が自分の学生生活では多かったように思う。海外留学選考の小論文の添削とか英語の個別レッスンとかドイツ語等々。規模の小さい国立大学ならではかもしれないが、教授1人当たりの学生数が少ないメリットを悉く享受できた、と今にしてみればそう思う。
質疑応答に関しては、ドイツ語の勉強モチベを維持できたきっかけは?みたいな質問されて、ドイツ語に訳されたアニメがかっこよくて好きだから、という返答をしたのが印象に残りすぎてあまりほかの質問を覚えていない。
講演が終わった後はほかの第二外国語の先生たちに連れられて中華料理をごちそうになった。独、仏、露、中、韓語の先生と円卓を囲んで一緒にご飯食べるのはあれがたぶん人生最後ではないかと思う。文系博士課程の当時の話が聞けたのは貴重だった。
なんで今更こんな記事書いているのかというと、ふと思い出した、というのもあるが、2年前自分が新入生に話したことを自分が今オーストリアで実践できているかということを今一度改めて振り返りたいと思ったから。できているかできていないかで言えば、できていると思う。コロナ禍で2回目のロックダウンも始まり、ラボの機能が著しく制限されている分、家でできることはプラスアルファも含めてやれていると信じたい。ただ、理想を言うのであれば、もう少し研究所・仕事外での交流を増やしたいところ。博士課程2年目、オーストリア生活3年目が始まって来年からはいろいろアクティブに動けるようになりたい。このブログも含めて。
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