留学アドベントカレンダー2024なるものに参加します。誘われたので。
ブログ、一年半ほど更新が途絶えてしまったんですけどこれに先駆けて近況を更新しました。
Github Pagesも作ってみました。こっちは履歴書とかにのっける用のやつですね。
留アドから飛んできた人のために、もっとプライベートなプロフは本ブログにあります。なのであらためて本記事で自己紹介を重ねることはしません。
タイトルにもある通り、留学とその後の現地就職の話をしようと思います。(仕事時間の合間に書いたせいで書き終わって眺めてみたら真面目モードが色濃く出てしまいました。本当に申し訳ない。)
私自身はすでに博士課程修了して”留学生”という身分とはお別れしてます。留学生というのは便利なステータスでどこへ行っても留学生は留学生として通じるんですね。これがひとたび卒業して学生ではなくなると自分を示すちょうどよい日本語が見当たらない。(ボキャ貧なので)
海外にいる学生は留学生だし、日の丸背負って働いている会社員は駐在員だし、留学後現地でその国の会社で働いている人は何なんでしょう、英語だとExpatエクスパットという表現がありますけど、まぁそんな感じです。
閑話休題
さて、留学から現地就職についての話なんですけど、初めて海外に出てからすでに10年近く時が経っており、いちいちかいつまんで説明すると時間がいくらあっても足りないので、留学・就職それぞれのきっかけになったエピソードに焦点を当てたいと思います。
留学の話
これ実は去年、電通大(母校)の第二外国語の異文化理解講演というものに講師として参加したときにも話しました。オーディエンスが母校の学生ってのは一番楽なパターンです。その大学の一般的な学生がどんな感じか肌で理解しているし、大学のシステム、留学制度にも詳しいし、自分の経歴を話す時も一定程度共感を持って話を聞いてもらえます。今回みたいなイベントでは本記事の読者がどういう層なのかよくわからないのですが、異文化理解講演のプレゼンで使用したスライドを一部、本記事に役立ちそうなやつを以下に引用してみます。
学部一年生向けの講演だったので多様な留学形態についての話をしています。
留学についてですが、私自身は学部時代に留学をしたことがありません。しようと思ったこともありません。ちょっと興味がわいたのは卒研が始まったB4のころです。研究が忙しめの研究室で連携している外部の研究機関に連日深夜、時には明け方まで実験しているような環境でしたが、他方、単位互換制度を結んでいる東京外語大の聴講生になったり大学内で開講しているドイツ語の講義を取り切ってしまいには独検2級まで取ってたり(当時の記事)、死ぬほど苦手だった英語が院試のためのTOEICの勉強で465→690まで上がって克服できたり、言語の壁というものがどんどん薄くなっていくのと同時に、海外で研究してみたい、という意志がふつふつと湧いてました。なので私にとってはB4からM1にかけてがのちに人生を振り返るときに一番忙しい時期であったと同時に一番のターニングポイントだったと思います。なぜなら、留学に際しては留学前の準備期間が一番大事だからです。
まぁこれは当時の恩師の受け売りなんですけれども、留学中のパフォーマンスとその後何を得ることができるかの5割近くが実は留学前の準備段階で決まる、という話が今でも心に残っていて、2回の海外インターンと博士留学を経た今思うことは、あの時の助言は正しかったんだなぁ、と。要は可能な限り準備でしてから行けってことです。行く前から行けば何とかなるではなんとかならないことの方が多いです。いや、実際には何とかなる、少なくとも死んだりはそうそうない、てのは明確に真なんですけど、心持ちとか覚悟の問題でできる限りやってから来た方が来た時に何かあっても大丈夫、ということだと思います。特に言語面に関しては行けばなんとかなるみたいな心構えだと行った後でもやりません。行く前からやりましょう。自分も本当に大事な場面は論理より感情や情緒を優先したいタイプなので若気の至りとか無鉄砲さとかそういうの好きですけど、なんか夢あふれるキラキラ留学生活なんてものは“ない”ので、待ち構えているのはどこまでいっても現実と等身大の自分なので、であるからには準備段階でどの留学でも共通しているのは語学をできるかぎり向上させるのと交換留学なら受ける予定の講義のシラバス読んでみるとか研究留学なら留学先から出ている論文読んでおくとか、正規留学なら留学先の卒論読んでおくとか、まぁいろいろできることあると思います。私はオーストリア来る前にDMM英会話でヨーロッパ在住の人に絞ってヨーロッパの人との英会話慣れしておきました。あそこはなぜか東欧の人が多いんですよね。ボスニアヘルツェゴビナとか。若い男性諸君はもしかしたら金髪ブロンドのねーちゃん講師を選びたがるかもわかりませんが、おっさんの方が話の引き出しがあって面白いです。おすすめ。
留学の話はこんな感じです。以降、タイの奨学金付き海外インターン、経産省のヴルカヌスインヨーロッパ、グラーツ工科大学の博士課程留学(フルタイム雇用)を経て博士課程卒業後、現地の会社への就職と流れ着くことになるわけですがそれぞれの生活のことはぜひブログたどって読んでください。
海外就職の話
現地就職に関しては、正直私の話はあまり再現性ないかもわかりません、というか正直この場で無責任に現地就職をすすめることはしません。この手の留学体験談で一番大事なのは、以前にもそれについて記事を書きましたが、再現性だと思ってるので。↑のスライドスクショにも挙げているとおり、一連の留学のその後の目標は自分にとってはヨーロッパ(と言っているけどドイツ語圏限定)で専門職(研究職)で就職して余暇の時間を確保しながら自分の好きな仕事して生きていきたい、というのが根底にあります。あと当時は30歳で残業とかに追われることなく一千万稼ぎたい、というのもかすかな野心としてありました。(これは円安のおかげで達成できました、運)
これらの目標は伝統的な日本の総合職の就職制度や年功序列の給与体系(実はヨーロッパの会社も大半は年功序列、というより経験年数がものをいうのでけっきょくは年功序列である、ということはおいておいて)とは真っ向から反するものです。なので留学後、日本で就職する、という選択肢はあるにはありましたが、志望度的にはだいぶ下の方でした。一応、大学で開催される修士向けの企業合同説明会に一度だけ参加したり、就職支援センターで自己分析なるものをやらされたり、就活の第一歩は踏み出した状態だったんですけど、さらなる一歩を踏み込む気は留学への準備が進むにつれてなくなっていきました。当時はコロナもなく就活生有利の圧倒的売り手市場、大学もその時節では大手就職率ランキング全国4位取ってるくらいで大学院の同期も知る限りでは全員誰もが知ってる企業に入社しているくらいなので、普通に就活やってれば普通にJTC入って普通に日本の僻地生活を楽しんでいたと思います。たまに夢想するのは人生そのルートでも良かったなぁ、と。ただ自分の天邪鬼気質がたたってしまったのか日本の総合職新卒一括採用アンチ、リクナビ・マイナビアンチとしてのプライドかそれを許さなかった。
海外就職でのターニングポイント挙げるとしたらやはりヴルカヌスになるのかなぁ、と。そもそも国費でインターンという名目で現地の研究開発部門で働けるわけなのでこれを活かさない手はないです。正味、海外大学への留学よりも企業の海外インターンの方が就職という意味では近道です。欧州ではけっこうコネ採用の文化が根強いです。そういった面で海外インターンを通じてインダストリとの接点ができるというのはまぎれもないメリットです。あと欧州の大企業の研究開発部門ではどういった人がどのように仕事しているのか実際その目で見てみるの大事です。ヨーロッパに来る前は大手のそれもR&Dで働いている人たちなんてのはとんでもない優秀な層で自分のような一介の学生には想像できないような途方もないことをやってのけている、みたいな印象でした。が、実際にインターンで一緒に仕事していると、なんだ、この人たちも同じ人間なんだな、みたいな印象に変わってきます。なんなら数理能力や論理的思考能力に関しては大学院でその手の訓練を積んだ平均的な日本人の学生なら普通に戦えます。戦いましょう。必要な知識は後からいくらでも身に着けることができます。そのベースとなる能力があれば降ってくる仕事を地道にこなして成果を積み上げていくことができます。たまに無理難題が降ってくることがあります、たいていは上司すら何をやらせているかわからない状態です。たとえできなくても気に病むことはないと思います。上司の責任です。でもそれを上司のせいだからと突き放すのも得るものがありません。大事なことは自分が余裕でできること、自分がちょっと頑張ればできること、今の自分にはちょっと無理そうなこと、到底むりなことを最初の数か月間の仕事で理解することだと思います。余裕でできることは最大限の効率化を図ってとにかく時短で終わらせる一方で残りの時間を自分がちょっと頑張ればできることとちょっと無理そうなことに注力します。ちょっと無理そうなことも自分の方がちょっと成長すればたぶんちょっと頑張ればできることに収まるようになります。
まぁそんな感じで成長できてるなーと自分で実感していると上司がまともな人間であればちゃんと見ていてくれます。これまで自分も何人か修士のインターンのメンターを務めてきましたが自分もそうだったので。その果てに、会社からのジョブオファーがあったり博士課程への推薦があったりするわけですね。なのでよく言うおかれた場所で咲きなさいというのは言いえて妙だと思います。自分が置かれた環境でパフォーマンスの最大化を図れば花開くでしょう。
ただ、置かれている場所があまりにも過酷な環境だったり上司が人でなしの場合はとっとと逃げてもよいと思います。自分はこの十年振り返るとたまにデスノートの夜神月が脳内で「計画通り」と囁いて悪い顔になったりするんですけど、特に博士課程の間思っていたことは、たとえ夢破れて志半ばで日本に帰ることになったとしても地元で好きな塾講師の仕事でもして暮らそう、みたいな脳内保険があったからですね。その点でいうと、先の近況にも書きましたが、自分はとことん上司とか教授とか同期とか、そういうのに恵まれたな、と思います。会社で働いていても隔週で大学に行って教授とかいまやポスドクとなったPhD同期とコミュニケーション取れてることがその証左です。人との出会いは運要素が大きいです。これが再現性取れない最大の理由だと思います。ただその運気を上げることはできると思っていて、これが人とのコミュニケーションを積極的に取ることだと思います。大学の卒業式ブッチするようなコミュ障の私でもそれができたので、みんなできると思います。
そのコミュニケーションを円滑に進めるためにはやはり言語の壁をできるだけ無くして、それは留学の準備段階でできることなのでやはり留学の準備というのが留学するうえでもその先就職するうえでも一番大事なことなんだろうと思います。
まとめ
後半なにを言っているのかわからない、という人、安心してほしい。俺も何言ってるのかわからない。そもそも自分には海外留学とか海外就職とかを他人にすすめる気はないです。昔はそうだったかもしれないけどいろんな人を見てきてその気はだいぶ消沈しました。
なぜならわりと人生の一大事かもしれないのに他人から勧められた程度で行く気になるような人は行ってもあまり長続きしないからです。なのであまねく留学や海外就職の魅力をアピールする、というよりも最初からそういう目的意識の持った人が読んだときに何か役に立つものを拾ってもらえれば、という意識で書いてます。ちなみにけっこう振り返りながら考えながら記事執筆したので2時間くらいかけてしまいました。2時間あれば面白そうな論文数本速読できるし、ジブリの映画が一本見れます。
そんな時間割いて書いた記事が万人に受けなくとも2人くらいに刺さってくれれば本望です。
ちなみに時間の話なんですけど、先述した大学の講演でも話したことなんですけど、今の大学生にとってタイパ(タイムパフォーマンス)は切っても切り離せない関係となっているようです。日々のどうでもいいことはタイパを意識してとことん効率化するのが良いと思うんですけど、本当にやりたいことや自分にとって大事なことはタイパとは切り離してじっくり考える時間を確保するの大事だと思います。これは最近、忙しくて大好きな”ビジュアルノベルゲーム”で日常シーンを未読スキップしてしまう自分への自戒を込めてます。起承転結どれも大事で承あっての転と結だと思います。まさしく留学の準備の話と同じですね。最近ドラクエ3やってるんですけど、ボス戦に向かうまでのレベル上げとかまさに、って感じですね。女僧侶は可愛い。
無理やりつなげました。これ以上本記事で話すこともないのでこの辺にて締めます。万人の万人に対する留学体験談の中で各々がちゃんと地に足ついて参考できるものに巡り合えることを祈ります。
終わり
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