四度目のロックダウンが明けて早一週間。今週からはレストランもオープンする一方でオミクロン株感染者も急上昇中。これのせいで日本への一時帰国を断念せざるを得なかった自分は年末年始こちらでどう過ごすかを今から考えている。特に大晦日とか花火ばんばん打ちあがるのが心底嫌いな自分はよほどのことが起きない限りは年末は日本の実家で過ごしたいと考えているのだが、よほどの事態なのでしょうがない。
去年はα株が入り込む前のギリギリのタイミングで帰国していたのだが、今年は変異株の方が早かった。けっきょく帰っても2週間自宅隔離なのだが、インドア派な自分はむしろ作業がはかどるのがありがたい。有給も貯まりににたまっておよそ50日分もあるのでD3の終わりごろにまとめて取って日本でD論完成させようかなんてことまで考えている。追加測定とかまで必要になったときのことを考えると一か月以上はちょっと怖くて帰れないけど。
閑話休題。
表題の件について、オフィス移動してかなりアクティブなPhD同期と同室になったせいか最近はこういう話題が多い。博士号の取得要件について。結論から言えば、教授がOKといえばそれでいいのだが、つまり研究グループによってまちまちである。オーストリア(というか伝統的なドイツ語圏の大学の場合どこもそうであろうが)の大学の研究室は教授が絶対的な権力をもっている。博論を提出し、研究グループ内の審査を経て、OKが出れば晴れて最終口頭試験であるRigorosum(英語でいうディフェンス)に出ることができる。そこで専攻の教授陣の前でプレゼンを行い(制限時間は設けられていない)、質疑応答を乗り切って合格となり博士号が得られるというわけだ。コロナ禍でなければ通常はそのあとにパーティも用意されている。研究グループだけでなく専攻全体でRigorosumのスケジュールは共有されるので基本的には誰でも見に来ることができる。共同研究していれば企業の人が来ることも多い。もちろん、今現在はコロナ禍につきパーティなんてすることはできないし基本的にはオンライン発表となっている。
いずれにせよ、Rigorosumまでたどり着けた人はたいてい、落ちることはないらしい。どんなに下手なプレゼンをしようとも何か致命的な欠点でも見つからない限りはこの試験には受かる。よって、その前の研究グループ内での審査、とどのつまり、教授からのOKの一言が一番大事。
たとえ、対外発表ゼロ件でも教授が良いといえばそれでよいのである。しかしながら、当然そのような状況で良いという教授が(知りうる限りでは)いるはずもなく、やはり定量的な評価として対外発表件数(学術誌論文掲載本数、国際学会発表件数)が明文化はされてなくとも必須要件となっている。ちなみにウチの研究グループでは主著の査読付き論文(国際会議プロシーディングを含む、内最低一本はジャーナル論文)を3編というのが暗黙の条件となっている。 ウチの分野はそこそこニッチで学術誌も国際会議もみんなだいたい決まったところに投稿するのでIFが問われるようなことはほぼない。そんな感じでも工学分野では(オーストリアではなくドイツでの統計データだけど)博士号取得までの平均年数が5年かかったりしているのでそこそこハードルは高いのかもしれない。まぁ実験系は時間がかかるのが常であるし試作にも測定にも失敗経験がある身からすれば5年というのは納得のいく数字ではある。そもそもコロナ禍と半導体不足のあおりを受けて企業からの試作品が永遠に来ない今のような状況ではなおさらである。
D3前期にして窮地ではあるがつい昨日、二本目の投稿を終え、三本目はジャーナル論文を執筆中というところまでなんとかこぎつけている。あとは来たものを(来ないんだけど)計って出すだけのものもまだ二つ残っているので修了要件は今のところなんとかなる予定。問題は肝心の博論の方であるが、ぼちぼちこちらも書き始めて三年きっかりで何とか終わらせたいところである。
まぁ新しいオフィスの椅子がとても快適なので大丈夫だと思う。あとタイプライターLikeのキーボードをD論執筆のためだけに買いたい。いちいちカチャカチャ鳴るやつ。そういう細かいところでやる気を積み上げていくのはとても大事である。
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