ウチの大学では外国人教職員とその家族向けにドイツ語クラスがA1~B2レベルまで無料で開講されている。自分は大学で働き始めた2年前すでにゲーテB2の資格を持ってはいたが、こういうのは使わないとすぐ忘れてしまうので、これまでかかさずに毎セメB2クラスを受講してきた。
もともと、博士課程を終えるまでにドイツ語C1(あるいはC2)を取得することは目標の1つだったのだが、その話をしたらドイツ語の先生がほかの参加希望者も募ってC1用個別クラスを開講してくれることになった。夏セメが終わり、7月から3か月間、ちょうど大学暦の夏休みにあたる期間にC1用の教科書を1冊終える予定である。3人しか受講者しかいないので(内一人はTwitterで応募した際に乗ってくれた日本人)、かなりの集中授業となっているが、できるだけドイツ語を話す機会が欲しい自分にとっては都合が良い。
個別クラスなので大学で開講されるような無料授業ではなく有料である。月額240ユーロ(1時間当たり15ユーロ)と、正直高いのか安いのかわからないのだが、先生曰く、自分は博士号を持っているのでこの金額にさせてほしいとのことだった。受講する側からすればその博士号が何の保証になるのか(自分が博士課程の院生であるにも関わらず)まったくわからないのであるが、特に法外な料金であるとも思わなかったので頷くしかなかった。
曰く、大学で開講されているドイツ語クラスだけでは正直これ以上やっていけないらしい。日本の大学非常勤講師みたいなものと考えれば確かにそうかもしれない。いくら博士号がリスペクトされる文化のある国であるとはいえ、この国でドイツ語教師として生きていくには大変らしい。ドイツ語に限らず、人文系を専門としている人がそのあとに就職で苦労するケースはこの国でもよく見かける。そもそも新卒一括採用が制度として存在しないこの国では会社はあくまで空いているポストのジョブディスクリプションに合致した人材を探すし、そこに新卒か既卒かなんて関係ない。おそらくヨーロッパの国々で若者の失業率が日本のそれと比較してかなり高いのはこういう就職システムが影響していると自分は思っている。工学部などは大学で学んだことがそのまま会社でも活かせるスキルとしてアピールできるので就職に苦労することはないだろう。むしろ企業の方が大学よりも給料は良かったりするので、PhDの公募に人が集まらないという話を助教や会社の上司から聞いたことがある。(博士課程でも日本の新卒平均以上の給料はもらえるのだが)まぁ5000兆円でも積まれない限りは自分は給料よりもやりたいことを優先していきたい。年に数回、日本に帰省できる分と衣食住に困らない(ただし食は妥協しない)分もらえていれば今はそれで充分である。
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