先週からクイズマジックアカデミー(以下QMA)でノーベル賞検定なるものが始まったのでやってみた。
出題内容は物理学賞・化学賞・生理学医学賞・文学賞・経済学賞・平和賞全6部門第一回から遡って受賞者や受賞者の功績・研究内容等。なかなか面白い。なかにはこれノーベル賞関係ないだろって問題もあるけど。
英国元首相のウィンストン・チャーチルが書いた第二次世界大戦の回顧録が有名なのは知っていたけどそれでノーベル文学賞を取っていたとは知らなかった。今度英語で読んでみたい。
日本人のノーベル文学賞受賞者といえばこれまで川端康成と大江健三郎の2名のみ、これまでの候補者に関しても出題されており三島由紀夫、谷崎潤一郎、西脇順三郎、安部公房などが出てくる。毎年予想に出てくる村上春樹に関する出題は意外と少ないかも。
別に私は文学少年でも何でもないけど浪人生のときに川端康成の代表作は何作か読んだことがあった。おそらく「伊豆の踊り子」が一番有名な作品だと思うが自分は「古都」が大のお気に入り。
ちなみに今年のノーベル文学賞受賞者はオーストリア人のペーター・ハントケ。グラーツ大学出身者らしい。ほぼ毎日Oesterreich 1(オーストリア国営放送局)のラジオを聴いているのだが最近はよく頻繁に話題にあがると思う。とはいえオーストリアは日本ほどノーベル賞に沸くことはない。歴史的にオーストリアのノーベル賞受賞者が多かったのは半世紀以上も前というのが理由の1つかもしれないが。2000年以降に絞れば国籍別でノーベル賞受賞者は日本が2番目に多いらしい(2015年時点、参考)
一年ほど前に日本科学未来館に遊びに行ったときはノーベル賞に関する特別展示が行われていたが日本人のノーベル賞の受賞とそれぞれの功績が年表として展示されていたのを覚えている。功績の多くが昭和後半から平成初期にかけてのもので言うなれば日本が失われた20年に突入する前に潤っていた時代の産物であることが印象的だった。そもそも科学分野におけるノーベル賞ってそういう傾向があるものだと思うけど、近年の日本人受賞者がほぼ全員これからの日本のノーベル賞受賞(つまり現在の科学研究)に関して警鐘を鳴らしているは本当に深刻な問題だと思う。
話は変わるが日本人で2番目にノーベル物理学賞を受賞している朝永振一郎(ともながしんいちろう)はドイツのライプツィヒに留学しているときのことを滞独日記としてしたためており岩波文庫の「量子力学と私」(本人著)に一部掲載されている。
一時期TwitterのRTで回ってきたことがあって興味があった私はブックオフでその本を買ってきてついついオーストリアまで持ってきてしまった。偉大な物理学者でも挫折や嫉妬に苛まれることがあるのだな、と同じ人間なのだなと妙に感心した記憶がある。でも今読み返してもその落ち込んでいるときの比較の対象がヴェルナー・ハイゼンベルクだったり湯川秀樹だったりするのでそりゃギリシャ神話や日本神話の神様だって同じ神様に嫉妬するもんな、と理解を新たにする。以下好きな部分を少しだけ抜粋。
”12月9日
朝永振一郎 「量子力学と私」 岩波文庫 p.159
どうも日記を書くのが億劫になってきた。書けばとにかく泣き言になるからだ。学問とか道徳とかいう崇高なものに反発心が起こってはいけない。歴史の上に大きな足跡を残した人などに向かってそんなのがなんだといいたい気持ちがする。そういいながら悪態をついて、一目散に逃げ走る卑怯者のような気がする。実は心の中ではそんなものはなんだなどとは思っていない。そんなものほんとに何だと思っているなら、こんなことを日記に書かなくてもいいのである。”
ノーベル物理学賞という歴史の上に大きな足跡を残した人自身の文章だと思うととても感慨深くなる。ちなみにこの本、滞独日記以外はすべて量子力学・量子電磁気学、ノーベル賞の功績になったくり込み理論に関することなので素人にとっては難しいどころの話ではない。人生2週目に入ったらじっくり読んでみることにする。
QMAのノーベル賞検定は世界中にどんな偉人がいたのかを広ーく浅ーく教えてくれる良検定だと思いました。(締め)
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