こんにちは、6月半ばに入りオーストリアにも夏が来ました。毎日30℃越えでうだるような暑さです。グラーツもウィーンも暑いです。しかもサマータイムも相まって8時まで日が射しているのであまり外を出歩きたくないです。なので日中は研究室に篭っています。
日本にいた頃は夏場はクーラーのガンガン効いた研究室で土日祝日も涼んでいましたがこっちの大学の研究室にはそんなものありません。ヒーターはあるのに。まぁ風通しは良いので窓を開けて涼んでいますがそれでも暑いときは濡れタオルを使います。なんとも原始的な方法。。。空調が効いている実験室に閉じこもっていたい。
–>ヨーロッパの大学の博士課程留学事情を少し紹介します。
私の場合オーストリアなのでおそらくこの記事を訪れる多くの人が志望しているであろうドイツではないのですが、ドイツ語圏はいわば学位の本場なので伝統的なシステムがそのまま残っているところはどこも似たような感じです。
(*ちなみにオーストリア最古の大学は1365年創立のウィーン大学でドイツ最古のハイデルベルク大学よりも20年早く設立されています。)
ドイツにおいては博士課程で決められた講義を受けつつ教授の指導の元博士論文を書くStructuredと研究テーマからスケジュールまで完全に自由に研究を進めることができるIndividual(Traditional)の2種類のPhD過程プログラムがあります。詳しくはコチラ。現在のドイツでは4分の1近くの学生がこのStructured PhDコースに属しているらしいですね。オーストリアは依然としてIndividualの方が主流です。
オーストリアの場合は博士課程生は全員大学からProject Assistantという役職を与えられ職員として雇用されています。つまり大学と労働契約を結びます。給料は参加する研究プロジェクトの予算から充てられます。オーストリアでは博士課程学生の給料は固定年棒制になっています。(給料の話)
Traditional PhD Programm入学申請までの全体的な流れ
研究テーマの選定
TraditionalPhD課程はまず研究テーマありきです。自分が博士課程の期間である3年間を通して研究して博士論文にしたい課題を見つけます。StructuredはわかりませんがTraditionalの場合は特に選択肢はありません。日本の修士学生は2年間でヨーロッパの学生よりもみっちり研究をやらされるので自分の研究したい分野の具体的なところまでイメージが掴めていると思います。アプライ時点の研究課題はそれくらいで十分です。
指導教員の決定
指導教授は自分で探す形になります。ドイツの場合はDAADとかCompassとか便利なサイトがそろってますね。オーストリアはそういった便利なサイト無かったですね。そもそも大学の絶対数が少ないんで研究テーマでおのずと絞られると思います。ウィーン大学とかウィーン工科大学とかインスブルック大学とかグラーツ大学とか筆者の所属するグラーツ工科大学とか規模の大きい大学はそれくらいでしょうか。指導教授が見つかったら教授にコンタクトを取ります。ヨーロッパの方は教授が強権を握っているので大学事務よりも先に大学教授に博士課程学生としての入学承諾のOKをもらいます。
大学以外の研究機関でのPhD課程
Individualの人は大学以外で研究するという手段もあります。例えば研究所や企業等です。ヨーロッパの研究所は博士課程学生向けの求人を出しているところがあります。GlassdoorやIndeedでPhD Studentで検索すると大学や研究所などの求人が結構出てきます。大体はその研究機関・部署と連携している大学の研究室の教授が書類上の指導教員となって実際の研究はそこで行う、といったやり方です。
日本の給付型奨学金付き留学制度であるトビタテやヴルカヌス・イアエステ等で日本の大学に在籍しながらヨーロッパ企業・研究所でインターンの後、ヨーロッパの大学の博士課程に正規入学ルートは個人的にオススメです。インターン中に大学の研究室とのコネも作れる上、アプライ前に教授と顔見知りになることができるからです。
私はヴルカヌスインヨーロッパに参加当時、将来的にヨーロッパの大学の博士課程進学も考えていたので会社が共同研究を行っている大学に出向き教授の前で研究プレゼンする機会をいただきました。
他にも国際学会等や研究留学でコネが作れれば強力ですがなければ教授にメールでコンタクトを取ってCVを送る形が大半でしょう。実際に私の友人の一人はそのような形でドイツでの博士課程留学を実現していました。
教授からOKをもらえることができればあとは正式に大学への博士課程入学申請と労働契約書へのサイン、という流れになります。
にほんブログ村
コメント